昨日のお客様が、最近の血液検査のデータを持ってきてくださいました。
お一人おひとり異なる検査結果を拝見することで、私自身も多くの学びをいただいています。貴重な情報ありがとうございます。
最近は、血液検査の結果とあわせて、直近2日間の食事メニューもお尋ねするようにしています。
すると、検査結果の数値を見るだけでは気づかなかった、食生活の傾向や改善のヒントが見えてくることがあるのです。
そして最近、お客様の食事記録を拝見していて、改めて感じたことがあります。
それは、お米を食べることに、必要以上の罪悪感を持っている女性がとても多いということです。
「体重が増えるから、夜はお米を食べません」
そんなお話を聞くことも珍しくありません。
確かに、体重が増えると気になりますよね。
私も健康や美容のために、自分の食事を見直すことがあります。
でも、ここで一度考えてみてほしいのです。
私たちが本当に目指したいのは、体重計の数字が小さくなることでしょうか?
それとも、10年後も自分の足で元気に歩き、好きなことを楽しみ、若々しい体で過ごせることでしょうか?
この違い、実はとても大切なんです。
体重は標準なのに、お腹がぽっこり。その原因は?
先日のお客様は、BMIは標準からやせ範囲に近い一方で、体脂肪率は30%を超え、お腹まわりが気になる状態でした。
ところが、ご本人が強く意識されていたのは体重。
体重を増やしたくないから、朝と夜はお米を控えているとのことでした。
そこで、血液検査の結果と一緒に、直近2日分の食事記録を見せていただきました。
朝食は、納豆、めかぶ、豆乳、ヨーグルト、ブルーベリー。
昼食は、玄米と豆、おからや昆布の炒め物、サラダ。
そして夕食は、味噌汁だけの日もありました。
健康を意識して食品を選んでいることは伝わってきます。
ただ、気になったのは、食事全体の量と栄養バランスです。
朝晩の主食を控え、夕食が汁物だけになる日が続けば、1日に必要なエネルギーやたんぱく質が不足している可能性があります。
もちろん、2日分の記録だけで栄養不足と断定はできません。
それでも、体重を減らすことに意識が向きすぎて、体を維持するために必要な栄養まで減らしていないか。
ここは見直す価値があると思いました。
体重が減っても、筋肉まで減らしたくない
40代以降の女性に、ぜひ知っておいてほしいことがあります。
それは、体重が減ることと、体脂肪が減ることは同じではないということ。
食事量を減らしすぎると、脂肪だけでなく、筋肉量まで減ってしまうことがあります。

筋肉は、歩く、立ち上がる、階段を上るといった日常動作を支える大切な組織。
さらに、筋肉量は基礎代謝や血糖コントロールにも関係しています。
年齢を重ねても若々しく動ける体を維持するには、筋肉を守ることが欠かせません。
そして、もうひとつ忘れてはいけないのが骨です。
骨の健康には、十分なエネルギーとたんぱく質、カルシウム、ビタミンDなどの栄養、そして適度な運動が大切です。
食事を減らすことばかりに集中していると、こうした体を守るための条件まで見落としてしまうことがあります。
数年後に「体重は減ったけれど、筋肉がない。骨密度も低下していた」と悲しむことがないように。
今のうちから、体重だけではなく、筋肉量や骨の健康にも目を向けてほしいのです。
お米を抜けば、代謝が上がるわけではありません
炭水化物は、体を動かすための大切なエネルギー源です。
摂取量を極端に減らし、必要なエネルギーまで不足すると、体はエネルギーを節約する方向に適応することがあります。
また、長期的なエネルギー不足では、甲状腺ホルモンの一種であるT3が低下する場合もあります。

ただし、お米を抜くことが直接、甲状腺機能低下症を引き起こすと決まっているわけではありません。
甲状腺の働きには、自己免疫疾患など、さまざまな要因が関係します。
一方で、昆布などの海藻に含まれるヨウ素も、摂取量によっては甲状腺機能に影響します。
健康に良いと思って同じ食品ばかりを大量に食べるのではなく、食材の種類や頻度、食事全体のバランスを考えることも大切です。
大切なのは、食べないことではなく、体に必要なものを不足させないことです。
白米にもち麦を加える。そんな工夫から始めよう
では、お米を食べると血糖値が上がるのが心配な方は、どうしたらよいのでしょうか?
まずは、主食を完全に避けるのではなく、食べ方を工夫することから始めてほしいと思います。
例えば、こんな方法があります。
- 白米にもち麦や雑穀を加える
- 野菜、きのこ、海藻、豆類などを取り入れる
- 魚、卵、大豆製品などでたんぱく質を確保する
- 野菜やたんぱく質のおかずを先に食べ、主食を後から食べる方法を試す
- 食事量を極端に減らさず、1日の栄養バランスを整える
もち麦には水溶性食物繊維の一種であるβ-グルカンが含まれています。
白米に混ぜることで食物繊維を補いやすくなり、食後の血糖値の上昇を緩やかにする効果も期待できます。
ただし、もち麦を加えれば、いくら食べても血糖値が上がらないということではありませんのでそこはご理解くださいね。
食べる量や食事全体の組み合わせ、また個体差によって、血糖値の反応は大きく変わります。これまでの食事の習慣などにも関係してきます。
食後血糖値が気になる方へは、食事の順番や主食の量を工夫しながら、自分に合った食べ方を見つけていくアドバイスをしていますのでご相談ください。
HbA1cが高い方は、自己流で炭水化物を抜かないで
血糖値やHbA1cが高い方にとって、炭水化物の量を考えることは大切です。
ただし、だからといって自己判断で主食を極端に減らす必要があるとは限りません。
HbA1cは、過去1〜2か月程度の血糖状態を反映する指標です。
白米をもち麦に変える、食事の順番を工夫する、適切な量を守るなどの方法を組み合わせがとにかく大切です。
健康のために始めた食事制限が、かえって体調を崩す原因になってしまっては本末転倒ですからね。
目指したいのは、体重が軽い体より、元気に動ける体
私が大切にしたいのは、単に痩せることではありません。
筋肉を守る。
骨の健康を守る。
血糖値や血液検査の結果にも目を向ける。
そして、年齢を重ねても自分らしく過ごせる体を育てること。
そのためには、食事を減らすことだけでなく、必要な栄養をきちんと摂取する視点が欠かせません。
お米は、敵ではありません。
食べる量や組み合わせを考えながら、上手に付き合っていけばよいのです。
体重計の数字が減るたびに喜ぶのも、もちろん悪いことではありませんが…
その数字の裏側で「筋肉や骨の健康が損なわれていないか?」も、ぜひ考えてみてください。筋肉や骨の減少は、お顔の老けにも繋がります。
今日の体重より、10年後の自分の体。
今の食事は、未来の自分への投資です。
食べることを怖がるのではなく、何を、どれくらい、どう組み合わせて食べるか。
そんな視点を持ちながら、これからの健康と美容を育てていきませんか。
「痩せなきゃ!」と食事を減らす前に、まずは自分の体に必要な栄養が足りているか、振り返ってください。
未来の自分に「ちゃんと食べておいてよかった」と言ってもらえる体づくりができるように一緒にサポートさせていただきます。
